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米ドル型日本株インデックスで為替リスクを考える

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米ドル型日本株インデックスで為替リスクを考える

「ダイワJPX日経400ファンド(米ドル投資型)」というファンドがあります。円建てのJPX400指数に米ドル属性を付加して米ドル建てにしたものです。これとプレーンの「ダイワJPX日経400ファンド」を用いて為替換算のリスクを考えてみます。

今回の検証の目的は以下です。
・為替リスクが基本的にリスクを増やすものであることを確認する
・リスクの為替換算におけるふたつの方法を実ファンドで確認する

ここ3週間の基準価額と米ドル円の推移は以下のようになります。
(※米ドル円はみずほ銀行からもらってきました。サンプリング時刻がファンドと異なるはずなので換算後の基準価額は厳密には一致しないと思います。)

【基準価額と米ドル円の推移】

円を米ドルに換算するので逆数としています。この推移を1日単位の変化率に直します。

【基準価額と米ドル円の変化率の推移】

①為替換算後の変化率からシグマを求める
図の水色の枠は基準価額を米ドル換算してから変化率を求めることを表します。
このときの相乗平均と標準偏差が水色の数値です。
これが米ドル型JPXの基準価額の変化率から求めたブルーの数値とほぼ一致しています(相乗平均のズレは誤差です)。
このように為替を掛け算した後の時系列から為替換算シグマを求めるのが一般的だと思います。

②為替換算前の変化率と相関係数からシグマを求める
ここで考えたいのは「JPX単独のシグマと米ドル円単独のシグマ、そして両者の相関係数から誤差伝搬で米ドル型JPXのシグマを求めること」です。

マゼンタの枠と数値がJPX単独のシグマと相乗平均を求めることを表します。
またグリーンの枠と数値が米ドル円単独のシグマと相乗平均を求めることを表します。
この両者の相関係数がオレンジの数値です。

誤差伝搬法則から、積の合成リスクは以下のように記述できます。

f=xy
σf=(y^2σx^2+x^2σy^2+2xyrσxσy)^(1/2)

ここに値を代入します。

f=1.0025×1.0001
=1.0026
σf=(1.0001^2×0.57^2+1.0025^2×0.20^2+2×1.0025×1.0001×(-0.0017)×0.57×0.20)^(1/2)
=0.60%

このように米ドル型JPXのブルーの数値とほぼ一致することを確認しました。

【考察】
例えばポートフォリオのように日本株とグロ株をウェイト50%ずつ組み合わせるような場合(合計で100%にするようなケース)は相関や個々のシグマにも依りますがウェイトの1/2が掛かるので合成リスクは低減しやすいです(∝1/√nのオーダー)。しかし米ドル投資型のような為替を積で合成するような場合はウェイトが1対1なので1/2のような係数が掛からず合成リスクは増加しやすくなります(∝√nのオーダー)。

米ドル投資型は上記のf=xyのようにリターン要因が積で組み込まれるので円安になればゲイン1のリターンとしてその恩恵を受けられます(ポートフォリオの場合は加重平均で薄まる)。しかしリターンの変動幅であるリスクも増幅されることを忘れてはいけないと思います。また円高になればダメージも大きくなります。

ちなみに今回の例でもわかるように、積の合成リスクでは米ドル円のリターンゼロ、相関ゼロでもシグマは増加するので注意が必要です。シグマが増加すると(相加平均)リターンが同等でも中央値が平均値からカイリしやすくなります。

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