「日本:グロ:新興」×「株式:債券:RT」の9資産の中で、シグマと他資産との相関の低さが際立っている日本債がポートフォリオリスクの絶対値をおおよそ決めていると思います(極言すればリスクを調整できるのが日本債しかない)。日本債の割合でリスクがどの程度決まるか総当たりのパワープレイで確認したいと思います。
まず、分解能を10%としてすべてのポートフォリオを書き出します。その数は格子状のマトリクスになりますので、9資産から10個を選ぶ重複組み合わせにより、
9H10=43758通り
これを日本債の割合に応じて色分けしてプロットします。色ごとに含まれるポートフォリオ数は、日本債を除く8資産からn個を選ぶ重複組み合わせにより以下のようにカウントされます。
Weight |
組み合わせ |
カラー |
0% |
8H10=19448 |
紫 |
10% |
8H9=11440 |
↑ |
20% |
8H8=6435 |
↑ |
30% |
8H7=3432 |
↑ |
40% |
8H6=1716 |
↑ |
50% |
8H5=792 |
緑 |
60% |
8H4=330 |
↓ |
70% |
8H3=120 |
↓ |
80% |
8H2=36 |
↓ |
90% |
8H1=8 |
↓ |
100% |
8H0=1 |
赤 |
各資産固有のリスクリターンは三菱UFJポートフォリオ対決第3戦登録時の4ヵ月換算値を年率換算したもの、相関は同じく登録時における推定値を採用(参考「
新興国REITの相関係数の推定ver1.1」)。合成リターン(相乗平均)はノイズキャンセル効果(リバランスボーナス)を反映するようにコードを修正。
日本債の割合に応じて色別にプロットすることでポートフォリオ分布を表現します。
【ポートフォリオ分布の日本債ウェイト依存(上から見た図)】
割合別にそれほど分布が離れているわけではなく、むしろ重なる部分が多いようです。ちなみにこれを斜めから見ると以下のようになります。
【ポートフォリオ分布の日本債ウェイト依存(斜めから見た図)】
次にこの分布のリスクの平均値を日本債割合の関数としてプロットします。エラーは1σです。
【ポートフォリオリスクの日本債ウェイト依存】
相関の小さい日本債が多いほどリスク低減の傾きが大きくなるような気がしていましたがそんなことはなくほとんど線型です。逆に日本債が80%以上から寝てきています。元のシグマが小さいので低減の余地が無いということでしょうか。
そうすると「率」にすべきかと思ったので同様に分布の「リスク低減率(加重平均シグマと相関演算シグマとの比)」の平均値を日本債割合の関数としてプロットします。エラーは1σです。
【ポートフォリオリスク低減率の日本債ウェイト依存】
日本債が50%付近で傾きに変化があり、80%前後にリスク低減率としては極値がありそうです。このあたりに日本債の相関の低さが見えていると考えます。
最後に、日本債ウェイトによらない全43758通りのポートフォリオの個数分布(密度)は二次元のグリッドヒストグラムを用いて以下のように表されます。
【ポートフォリオの密度分布】
このようにウェイトの均一マッピングでは分布が中央に集中するようです。
なおリスクリターンに極端な時期の値を使ってしまっているので全体の形としてもあまりパレート解っぽくなっていません。今回の一連の考察結果も市場環境(元にする統計量)に応じてある程度は変わると思いますのでご了承願います。
基本的に日本債に対する応答関数を知りたかったので、まとめは以下のようにします。
【まとめ】
・合成リスクは日本債に対してほぼリニア
・リスク低減率は日本債に対して非線型
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