バンガードETFが50銘柄追加されるようです。
「VT(0.18%)」の他に、
「VXUS(0.14%) or VEU(0.15%)+VTI(0.05%)(+VYM(0.10%))」もいい感じに思いました。
ただこれだけあっても非時価加重ウェイト(ex.Equal Weighted Index)が無いのは・・・orz
バリューETFは「Value Weighted Index」ではなく「Value Index(market cap)」だと思います。バンガードの思想として低コストのために時価以外ありえないならしようがありません。
米国ETFは分配や再投資、確定申告が面倒で課税ロスも考えるとやる気が出なかったのですが、非課税口座もあるし、上のVXUSやVEUもおもしろそうなので、改めて米国ETFの課税関連とその複利ロスについて考えてみます。
※怪しい部分もありますので間違い等あればご指摘をお願い致します。
【分配と課税の違いマトリクス】
|
国内IndexF |
国内IndexF(DC) |
国内ETF |
米国ETF |
分配の有無 |
無分配
(とする) |
← |
配当収益を
全額分配 |
← |
現地配当課税 |
(無分配でも)
10%源泉徴収 |
← |
← |
配当分配時に
10%源泉徴収
(これを国内所得税から控除
→外国税額控除※1) |
国内分配課税 |
(分配すると)
20%源泉徴収 |
非課税 |
配当分配時に
20%源泉徴収 |
← |
配当に対する
売却時
譲渡課税 |
あり(20%) |
なし(DC) |
なし(分配済み) |
← |
例えばグローバル株式で配当を3%(キャピタルゲインはゼロとする)として課税や経費率でどれくらい侵食されるか(=複利ロスの差とみなす)を指標に成分分離しながら考えてみます。
【一般の課税口座の場合】
|
国内IndexF |
国内IndexF(DC) |
国内ETF |
米国ETF |
経費率(実質コスト) |
0.60% |
0.30% |
0.30% |
0.18% |
配当 |
3% |
3% |
3% |
3% |
現地配当課税 |
10% |
10% |
10% |
0(※1) |
国内分配課税 |
0 |
0 |
20% |
20% |
課税後配当 |
2.70% |
2.70% |
2.16% |
2.40% |
課税後配当−経費率 |
2.10% |
2.40% |
1.86% |
2.22% |
配当に対する
売却時譲渡課税 |
20% |
0(DC) |
0(分配済み) |
0(分配済み) |
譲渡税控除後
(20年後) |
41.23% |
60.69% |
44.57% |
55.14% |
譲渡税控除後
(20年後)年率 |
1.74% |
2.40% |
1.86% |
2.22% |
(前提)
・国内インデックスFは現地配当課税10%、無分配を仮定して国内分配課税はゼロ。
・米国ETFは外国税額控除により現地配当課税をゼロとする(※1)。国内分配課税は20%。取引手数料と為替手数料は考えない。
配当の侵食(課税後配当−経費率)だけではそれほどの差には見えませんが、売却して譲渡税まで課された複利率を求めると大きな差になってきます。外国税額控除が適用される分配あり経費率0.18%の米国ETFと勝負する無分配インデックスファンドは実質コスト0.6%では太刀打ちできず0.1%程度でやっと戦える水準に相当します(「
バンガード・エマージング・ボンドETF(米ドル建て新興国債券)」における考察とコンシステント)。
分配課税による20%複利ロスより、配当課税による10%複利ロスと譲渡課税20%の組み合わせの方がロスが大きいということですね。米国ETFは分配で利益確定しながら外国税額控除で大元を取り戻すということでうまくできていると思います(合ってますよね?)。DCが使える人はDCでいいような気がしますが拠出金額に上限があるので米国ETFもいい感じです。
【非課税口座の場合】
|
国内IndexF |
国内IndexF(DC) |
国内ETF |
米国ETF |
経費率(実質コスト) |
0.60% |
0.30% |
0.30% |
0.18% |
配当 |
3% |
3% |
3% |
3% |
現地配当課税 |
10% |
10% |
10% |
10% |
国内分配課税 |
0 |
0 |
0 |
0 |
課税後配当 |
2.70% |
2.70% |
2.70% |
2.70% |
課税後配当−経費率 |
2.10% |
2.40% |
2.40% |
2.52% |
配当に対する
売却時譲渡課税 |
0(非課税口座) |
0(DC) |
0(非課税口座) |
0(非課税口座) |
譲渡税控除後
(5年後) |
10.95% |
12.59% |
12.59% |
13.25% |
譲渡税控除後
(5年後)年率 |
2.10% |
2.40% |
2.40% |
2.52% |
(前提)
・非課税口座は分配に対して非課税(非課税枠で再投資できるとする)。
・しかし課税されない=外国税額控除が適用されない(と考えられる)ので米国ETFは現地配当課税10%が復活(するとする)。
この場合は分配によらず経費率の差だけになるようでわかりやすいです。
【まとめ】
このように「コスト」と「配当分配による再投資課税複利ロス」に関してバンガードの米国ETFは魅力的です。「確定申告」「再投資」などの多少の手間を惜しむ必要は無いかも知れません。しかも非課税口座は外国税額控除が適用されないなら確定申告の必要もなさそうです。今回の50本のおかげで現地配当課税と外国税額控除の関係についての曖昧な理解が少し整理できたような気がします。
あとETFでストレスなのが「基準価額と取引価格との乖離」ですが、それも少なくともVTは過去に確認した限りそれほどでもないので問題ないかも知れません。
【参考:VTの市場価格の乖離】
加えて非課税口座は海外ETF(買)の手数料をキャンセルしてくれるみたいですし、いろいろと環境が良い状況です。重い腰を上げて海外ETFデビューしますかね(・∀・)
※1:「所得税の控除限度額=その年分の所得税の額×(その年分の国外所得金額/その年分の所得総額)」で決められる上限があります。
(関連記事)
1. 無題