任意の加重平均でもそれらの平均は対数正規分布の平均値のまわりをバラつくと考えています。またイコールウェイトも加重平均の一種であり、構成要素数がとある集合のNに一致しない場合は必ず平均値を取るわけではなく、平均値のまわりをある幅を持ってバラつくことになると考えられます。これを分布で確認します。
【加重平均と等配分(頻度分布)】
【加重平均と等配分(累積分布)】
【統計量テーブル】
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平均値 |
中央値 |
平均確率 |
単体 |
4.4 |
2.9 |
33.3% |
加重平均 |
4.4 |
3.3 |
35.1% |
等配分 |
4.4 |
3.5 |
36.2% |
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理論値(単体) |
4.5 |
2.9 |
31.8% |
【考察】
まず横軸を1dB(デシベル)ごとの対数で表した頻度分布において等配分、加重平均とも分布が左右対称に見えます。そして両者とも分布の形状が単体より狭くなっています。等配分は2個の加算平均であるため分布のシグマが「1/√2倍」されたと考えることができます。また加重平均も等配分ほどではないが分散がされているため、例えば「1/√1.5倍」のような効き方でシグマ低減されたと考えることができます(どちらも合成リスクをn年後の複利確率に置き換えたものと言える)。
これを累積分布として積分すると等配分がより急峻になり、平均値の推定精度が相対的に高いと捉えることができます。テーブルを見ると等配分も加重平均も平均値は単体(対数正規分布の平均値)に一致することがわかります。また両者とも単体より平均値を取る確率が上昇していることが確認できます。この確率は等配分が最も高くなると考えられます。
このように等配分であっても構成要素の数が分布のNに一致しなければ平均値のまわりをバラつくことがわかります(必ず平均が得られるわけではない)。今回は簡単のため2個で行いましたが、等配分する数を増やしていくほど中心極限定理によりポートフォリオ分布の幅は小さくなっていくと考えられます。数が分布のNに一致したときイコールウェイトがもれなく平均値を得ることができます。
また等配分は平均値が取れない場合でも「中央値」は単体や加重平均より大きくなっています。これは等配分が「リスク=消失リターン」を最も効果的に低減したと考えることができます。
以上の結果は「あらゆる銘柄の組み合わせをあらゆる加重平均で構成した無数のポートフォリオもまた資産価値が対数正規分布する」と仮定した「
イコールウェイトインデックスの合理性」の仮説とコンシステントであり、当時の考察はリーズナブルであることが確認できます。
等配分が時価加重より合理的であることは、この「n増しによる(中央値の)平均値への収束の速さ」が統計的根拠になると考えます。さらにこの考え方によればインデックスとアクティブファンドとの関係もモデル化できると思います。時価インデックスもアクティブも加重平均の集合であり確率分布を構成する要素としては同等です。しかしアクティブはコストで中央値を削るため確率的に分が悪いということだと考えられます。
何らかの加重を行うことで分布はシュリンクし、個々の加重平均は分布の平均値より大きくも小さくもなります。等配分によりその不確定性の精度を上げることは合理的だと考えます。また母数をカバーすることで等配分は統計に裏付けされた相加平均を鮮やかに実現するものであると考えます。必ず平均値を得られるという事実は「平均」を目指すインデックス投資において特別な意味を持つと考えます。
【まとめ】
・加重平均ポートフォリオも分布の平均値に収束する
・等配分が最もバラツキが小さく(中央値が高く)、平均値への収束が速い
・構成要素数がとある集合のNに一致するとき等配分は必ず平均値となる
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