「テクニカル分析なんてpeak to valleyを線で引っ張っているだけ」のような印象があるのですが、いくつかは統計的な指標に基づくものがあると思います。
ロジカルETF「四皇」の価格変動を見ながら確認したいと思います。
◆ボリンジャーバンド(Bollinger Bands)
タップを固定したときの過去のローリングシグマから移動平均に対するダイナミックレンジを求めているようです。いわゆる確率的なエンベロープを形成していると理解しています。
【ETF1399(高配当最小分散)の2015/12/25のボリンジャーバンド】
【ETF1475(TOPIX)の2015/12/25のボリンジャーバンド】
【考察】
直前の移動平均に直前のランニング標準偏差の定数倍を加算したエンベロープを描くことで、「直近の変動から推定すると直後は確率的にこの範囲に入る」ということを示すものと考えられます。
連続的に売買があるような時間帯は2σ程度のレンジには収まっているようです。フラットから突然変化するときなどは軽く3σに達しているようで、移動計算という特性上あまりうまくトレースできていないようにも見えます。
なお下段は「ボラティリティ(シグマ)」の推移です。特徴としては価格が「変化するとき」にボラティリティが有限の値をとり、さらに変化の傾きが大きいほど量が大きくなっています。変動率という微分量を定量化したシグマの特性そのものが表れていると思います。「ボリンジャーバンド」もシグマそのものなのでエンベロープの振幅はボラティリティと相関がありそうです。
◆モメンタム(momentum)
「モメンタム」は「ボリンジャーバンド(標準偏差)」と同じく変化量を表すものですが、こちらは絶対値ではなく正負の符号付き微分値のようなものと理解しています。物理屋としては「物理における"運動量"を金融で使わないでほしい」とは思いますが。
【ETF1399(高配当最小分散)の2015/12/25のモメンタム】
【ETF1475(TOPIX)の2015/12/25のモメンタム】
【考察】
下段が「モメンタム」ですが、上の「ボリンジャーバンド」のグラフと見比べると、「モメンタム」は「ボラティリティ」とほぼ同タイミングでゼロでない値を取ることがわかります。「ボラティリティ」が必ず正の値であるのに対して「モメンタム」は価格変動の向きに応じて正負の値を取っています。
短期的な変動を定量化&視覚化するには理解しやすい微分量であると思います。
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