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インデックス・ドライバー

インデックスのシンクロ率

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インデックスのシンクロ率



写真は過ぎし日の白馬八方尾根スキー場です。

私がスカイラインコースから戻ってくるとリラックマさんたちは黒菱ゲレンデに整然と並んでレッスンを受けられていました(左から2人目がピンクパンサーさんで3人目がシラックマ(コリラックマ)さんです)。

この御三方と白馬三山(しろうまさんざん)の「シンクロ率」はなかなかのものだと思います。シンクロ率83%といったところでしょうか。

ところで、「コロナ」自粛中に調べ物をしていたら以下のインデックスファンドに興味を持ちました。


このファンド自体は2015年に設定されたものです。説明によると、

「iSTOXX MUTB JAPAN クオリティ150インデックス(配当込み)とは、東京証券取引所を主たる市場とする普通株式等の中から時価総額、流動性によりスクリーニングされる投資ユニバースのうち、高ROEかつ、①財務健全性、②キャッシュフロー収益性、③利益安定性の3点に着目し、高ROEの継続性を評価して150銘柄を選定し算出される株価指数」

また以下のページによると、


「年2回(6月・12月)、インデックス構築プロセスに基づき銘柄の見直しがあります。また、JAPANクオリティ150は時価総額加重型のインデックスですが、特定の銘柄への集中を防ぐ観点から、一銘柄の組入比率の上限を2%としています。(ただし、見直し後の時価総額の変動により2%を超えることがあります。)」

個人的にいいなと思う特徴は以下です。

・いわゆる「腐った企業」や「危ない経営をしている企業」を排除するスクリーニングが働く
・組入比率の上限2%

【定量化】
TOPIX(東証株価指数)、日経平均株価、JPX日経400インデックス、iSTOXX MUTB JAPAN クオリティ150インデックスでいくつか数値化してみたいと思います。

それぞれの①ランニング相関係数(対TOPIX)、②相対変化率(TOPIX基準)、③変化率のヒストグラムです。なおeMAXISの基準価額を元に計算していますので、トラッキングエラーなどによって実際の指数とは異なる場合があります。期間は2015/11/06-2020/04/17。

【①ランニング相関係数(対TOPIX)】

日々の変化率から20日タップでコリレーションを取得。上段が全レンジ、下段が縦軸の拡大です。同じ国内株式でありながら日経225とクオリティ150は相関が割と低くなることがあるようです。他方JPX400はほとんど1に張り付いています。

相関係数をシンクロ率とするなら上限は100%、下限は-100%です。

やってみて知りましたがTOPIXとJPX400ってこれほどまで似た指数なんですね。この両者はシンクロ率が高いという結果が得られました。2000銘柄以上ある指数と400銘柄の指数でこんだけ差がないというのはTOPIXはほとんど上位の銘柄で値動きが決まっているということですかね(JPXのクリップ1.5%も効いていないということ?)。

【②相対変化率(TOPIX基準)】

横軸にTOPIXの変化率、縦軸に「TOPIX基準の相対変化率」を取ります。

日経225はまず上と下にパラパラと点があります。これはTOPIXに対して大きく動く時があることを示しています(図示はしませんが時系列的にはほとんどコロナショック中の出来事です)。また第一象限と第三象限に散らばる傾向があります。これはTOPIXが大きく変動すると日経平均は同じ方向にさらに大きく動くことを示しています。

JPX400はTOPIXとほとんど同じ。

クオリティ150も分布が太りますが日経225のような外れ値はなく、こちらはどちらかというと第二象限と第四象限に散らばる傾向があります。それはつまりTOPIXよりは短期的な変動が抑えられていると言えるのではないでしょうか。

【③変化率のヒストグラム】

値が同じだと重なってしまうのでわかりにくいグラフになってしまいましたが、日経225が最もテイルが伸びているように見えます。普段から一部の銘柄に引っ張られて「爆上げ」「爆下げ」している印象があるのとコンシステントです。

【考察】
日経225についてはしばしば「ファーストリテイリング(ユニクロ)とソフトBで日経平均株価を◯◯円押し下げた」というような記事を見ることがありますが、「なんで特定の銘柄に左右される指数をありがたがって使うかなあ」と思いますよね(単位が円だからわかりやすいというだけですかね)。

「コロナショック」で割と日経平均株価とTOPIXの変化率に差がある日が増えているようです。こういう銘柄に振り回されているんだと思います(日経平均の10%弱はユニクロですしね)。

我々がインデックスに求めているのは安定性と長期の持続的な成長性であって、短期の変動が大きい指数ではないですよね。古くからの既存の指数は「ベンチマーク(株価のバロメーター)であって、長期の資産形成に最適化された指数とは限らない」と考えています。

JPX400はあまりTOPIXと変わらないので「なんで作ったんだっけ?」という気になってしまいます。もともと機関投資家さん向けに作られた指数のような話を導入された時に見たような気がするのでそちらメインで使っていただければと思います。

クオリティ150は日経225のようにTOPIXに対してシンクロ率が低いですが、それは分散投資としては望ましいことですし、過度な変動時の荒い動きも比較的抑えられているようなので、資産形成に向けた指数として目的と機能を果たせるのではないでしょうか。同じ財務指標系指数でもJPX400と振る舞いが異なるのが興味深いです。

【まとめ】
クオリティ150のような指数は昨今話題の「AI」なんかで簡単にできそうな話ですし、無条件に「全部」よりかは効率的なんだろうなあと考えています。こういうインデックスこそ割増せずに信託報酬を抑えてくれると広まりやすいのになあと思います(運用管理費用0.4%(税抜))。

私の場合は8資産均等型でTOPIXを保有していますので、このようなシンクロ率の低いファンドを”分散投資としてのヘッジ”として個別に持っておくのもいいかもしれません。日本株は身近にありながら投資したい金融商品がなかなかなくて残念に思っていましたが、適度に選別と平準化(変動の抑制)がされているインデックスファンドとして検討に入れたいと思います。

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