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n年後のリスク

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n年後のリスク

最近「時間リスク」「長期リスク」について再考中であります。

n年後の期待値のバラツキは「時間とリスクの関係(訂1)」で考えたのですが、その中の式を展開すると、

(1+μ+aσ/√n)^n
=1+n(μ+aσ/√n)+・・・
=1+nμ+aσ√n+・・・
=(1+nμ)(1+aσ√n)+・・・
=[(1+μ)^n][(1+aσ/√n)^n]+・・・

最後の2行は余談で、3行目を見るとリターンの1次近似とリスクの1次近似とみなせます。

特にσ√n、、、この形どこかで見たと思ったら、時間方向に相関ゼロの単純な誤差伝搬法則です。

確かに月率から年率へ√12倍で換算するのと同様に、年率から「n年率」に√n倍で換算できます。これもn年後の期待値のバラツキを表すと考えられます。

ただそうすると標準誤差(σ/√n)をとってn乗するのとどちらがよいのか。上記の数式から2次以降が差として現れてくることがわかります。

【n年後のリスク】

上図はリターンをμ=0、標準偏差をσ=15%として、n年後の+1σのラインをプロットしたものです。それぞれ、

①:標準誤差のn乗
②:①の1次近似まで(標準偏差の√n倍)
③:①の2次近似まで

√n倍(②)はn乗(①)に対してかなり小さく見積もることになります。この違いは何かと考えてみると②は複利の効果が入っていないことです。①はσ/√nという年平均のリスクが1年ごとに掛かるとして複利で考えています。

その場合年率リスクは一般的に15%程度で微小量とするには大きく、近似誤差(複利の効果)が無視できないと考えられます(そもそもσ√nの根拠である誤差伝搬法則も近似を使っている)。それを2次(③)まで展開するだけでかなり近づきます。

ただここでちょっと考えてみると、リターンの相加平均相乗平均と同じ問題を抱えているのではないか。σ√nをnで相加平均をとらず相乗平均で考えればn乗しても結局σ√nで収めることができます。その場合の1年あたりのリスクは

(1+σ√n)^(1/n)-1

となります。この時のn年後の評価額のバラツキは、

(1+μ)^n×(1+aσ√n)   (リターン項とリスク項を分離しました)

「σ/√nのn乗」なのか「σ√n」でいいのか。一応現状の理解を「σ/√nのn乗」としてまとめておきます。

(i)投資期間全体のリスク(変動の割合)・・・増える(σ√n)
(ii)1年あたりのリスク(平均の変動)・・・減る(σ/√n)
(iii)評価額のバラツキ(複利込みの変動)・・・増える((1+μ+aσ/√n)^n)
(iv)元本割れのリスク(危険性)・・・減る(μ/σ~-a/√n)

(以下余談)
それじゃあ日率や月率の換算も「σ√n」ではなく「σ/√nのn乗」でやらないといけないの?というツッコミは勘弁してください(´~`;)上記のようなn年後のリスク計算のスケールに比べれば誤差は小さく無視できます。単純に誤差を積み重ねる誤差換算か複利による成長まで考えるか、目的に応じて適宜使い分ける、ではダメでしょうか。

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