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インデックス・ドライバー

外国資産リスクの成分分解

三井住友TAMで興味深いコラムが掲載されていました。


要旨は①分散によって通貨でもシグマが減る、②通貨間の相関係数にも特徴がある、といったところでしょうか。

個人的におもしろいと思ったのは通貨間の相関係数です。基本的に為替換算はシグマを増やすので、為替リスクのない国内資産だけに投資する方が安全な印象があります。しかしこの相関係数の表を見ると、通貨も資産も多数の国に分散できるグローバル投資では為替換算で増えるリスクを分散(相関係数とn)によってそれ以上に減らせるのではないかと思いました(ただし現実には日本円と現地資産との相関が高いので難しいはず→「相関為替ヘッジ」「積の合成リスクの相関係数依存」参照)。

また円換算のリスクは時系列だけでなく計算で求めることもできます。つまり現地通貨建て資産と通貨との"積の合成リスク"です(「国内資産と外国資産のシグマ(積の合成リスク)」参照)。普段の合成リスク算出に用いる各資産のリスクは円換算されているのでそのまま相関マトリックス演算をすればよいのですが、この積の合成リスクを使えば現地通貨建て資産と通貨とのリスク成分を分離した合成リスク演算が可能になります。リンク先で通貨間の相関係数が求められているのでこの機会に考えてみます。

例として2資産2通貨で考えます。

・資産X1(σx1)とそれに対応する通貨Y1(σy1)・・・例えば米国株と米ドル
・資産X2(σx2)とそれに対応する通貨Y2(σy2)・・・例えばブラジル株とレアル

をそれぞれW1とW2という配分で合成する場合を考えます。

f=W1X1Y1+W2X2Y2

これを「誤差伝搬法則」にあてはめて愚直に偏微分を計算すると、

σf^2
= W1^2 Y1^2 σx1^2 + W1^2 X1^2 σy1^2 + W2^2 Y2^2 σx2^2 + W2^2 X2^2 σy2^2
+ 2 W1 Y1 W1 X1 σx1 σy1 rx1y1
+ 2 W1 Y1 W2 Y2 σx1 σx2 rx1x2
+ 2 W1 Y1 W2 X2 σx1 σy2 rx1y2
+ 2 W1 X1 W2 Y2 σy1 σx2 ry1x2
+ 2 W1 X1 W2 X2 σy1 σy2 ry1y2
+ 2 W2 Y2 W2 X2 σx2 σy2 rx2y2

さらに以下のように整理します。

σf^2
= W1^2 (Y1^2 σx1^2 + X1^2 σy1^2 + 2 Y1 X1 σx1 σy1 rx1y1)
+ W2^2 (Y2^2 σx2^2 + X2^2 σy2^2 + 2 Y2 X2 σx2 σy2 rx2y2)
+ 2 W1 W2 Y1 Y2 σx1 σx2 rx1x2
+ 2 W1 W2 Y1 X2 σx1 σy2 rx1y2
+ 2 W1 W2 X1 Y2 σy1 σx2 ry1x2
+ 2 W1 W2 X1 X2 σy1 σy2 ry1y2

最後の式の1行目と2行目は資産X1とX2それぞれの為替換算リスクです。3行目から6行目がそれらを合成する際の相関成分(クロス項)を表すと考えられます。普段は為替換算された時系列から相関係数を求めているのでわからないですが、内部はこのような総当たりマトリックスになっているのですね。また和だけでなく積の関数なので各項にX1とX2のリターンが掛かっています。

特に最後の6行目が通貨間の相関成分を表します。通貨と通貨の相関はマトリックス演算の一部であり、他にも資産と資産、資産と通貨の相関も考えなければなりません。つまり合成リスクに対する通貨間の寄与は1/4であることがわかります。あまり大きくはないですが通貨という成分に分けて考えるのは重要だと思います。いつも我々が使っている外国資産の相関は通貨がどれくらい寄与しているのかわからないので、それを考えるきっかけになります。

とりあえず表を描いてみると、

X1 Y1 X2 Y2
X1 1 rx1y1 rx1x2 rx1y2
Y1 rx1y1 1 ry1x2 ry1y2
X2 rx1x2 ry1x2 1 rx2y2
Y2 rx1y2 ry1y2 rx2y2 1







通貨を分離するとマトリックスの一辺がn個から2n個になるのでn^2だった演算量が(2n)^2=4n^2で4倍になります。用意しなければならないrやσも組み合わせに応じて増加します。

また表をRGBで色分けしたのはそれぞれの役割が明確だからです。赤は資産X1の為替換算リスク、青は資産X2の為替換算リスク、緑はそれらのクロス成分を表します。n資産に拡張する場合も2×2のマトリックスがn×nで増えていくと考えると理解しやすいです。例えばn=3の場合は、

X1 Y1 X2 Y2 X3 Y3
X1 1 rx1y1 rx1x2 rx1y2 rx1x3 rx1y3
Y1 rx1y1 1 ry1x2 ry1y2 ry1x3 ry1y3
X2 rx1x2 ry1x2 1 rx2y2 rx2x3 rx2y3
Y2 rx1y2 ry1y2 rx2y2 1 ry2x3 ry2y3
X3 rx1x3 ry1x3 rx2x3 ry2x3 1 rx3y3
Y3 rx1y3 ry1y3 rx2y3 ry2y3 rx3y3 1









ちなみにFXや外貨MMFなどの通貨のみの合成リスクならX1、X2、、、を1、σx1、σx2、、、をゼロにすれば求まります(普段の合成リスクに帰着)。

あとコラムの最後のコメント、

『通貨の変動を予測することは非常に難しいため、特定の通貨に大きく投資を傾斜することなく、通貨も分散してリスクを緩和することが投資のポイントとなるのではないでしょうか。』

>三井住友TAMのマネージャさまへ
なので米国(米ドル)偏重の時価総額加重に代わる等金額インデックスを望んでいます(「Equal Weighted Index」参照)。この一文はスタムでの採用を示唆するフラグであることを期待します。

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