以前「
リターンの平均とバラツキとの関係」でバラツキがあると減価することを分布を使って回りくどく検証しました。ドルコストを考えていて今さらながらこれを数式で簡単に記述できることに気づきました。
μを相加平均、μ'を相乗平均とし、+σをn回、-σをn回の計2n回繰り返した時の相乗平均を求めます。
1+μ'=[((1+μ+σ)^n)((1+μ-σ)^n)]^(1/(2n))
=[((1+μ)^2-σ^2)^n]^(1/(2n))
=((1+μ)^2-σ^2)^(1/2)
=(1+μ)(1-σ^2/(1+μ)^2)^(1/2)
≒(1+μ)(1-σ^2/(2(1+μ)^2)) (1次までテイラー展開)
ゆえに、
(1+μ')-(1+μ)=-σ^2/(2(1+μ))・・・①
オーダーとしてσの自乗の半分と覚えておくのがよいと思います。μにも依存する一方でnには依存しません。例えばμ=0、σ=20%で2%減価することがわかります。
①の数式を直接表したのが次のプロットです。
【相乗平均と相加平均との差分プロット】
その他、同じことを表していますが軸を変えてふたつプロットしておきます。
【シグマ別のプロット】
【相加平均別のプロット】
リスク(標準偏差)の大きい資産はたとえ(相乗平均)リターンが大きくてもかなりのロスをしているということですね。