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インデックス・ドライバー

リターンの平均とバラツキとの関係

これまできちんと考えたことがなかったのでこの機会に考えてみます。
 
 
『国際株式ファンドは2008年のリターンが▲57.24%となり、指数値は43まで下落した。そして、2009年のリターンは57.44%上昇しているものの、指数値は67までしか回復していない。年間リターンでみると上下動は同程度だったものの、指数値は元に戻っていない。2009年に元の水準まで指数値が戻るためには、130%以上上昇する必要があったためだ。』
 
確かに-50%の後に元に戻すためには+100%が必要です。つまり絶対値は同じでもマイナスの方が強いことになり、リターンの分布がゼロを中心に左右対称であっても、実際の結果はゼロにはならないということになります。
 
エッセンスとしては数学の「相加平均≧相乗平均」ということになりますが、パラメータに対する感度などを含めて簡単な分布で確認してみます。
 
下図のような三角波的な分布を仮定します。それぞれトータルのNは36[年]で平均が-6,-4,-2,0,2,4,6[%]、標準偏差はどれも2.4[%]です。
 
agm_dist_ret_n36.jpg
 
これらの分布を構成するリターンの集合を掛けた後の評価額(元本に対する比)を、横軸を平均リターンとしてプロットします。これを「×分布」とします。一方、単純に分布の平均リターンをN回掛けた場合を「平均^N」としてプロットします(標準偏差がゼロの場合に相当)。
 
agm_dep_am_dev01_n36.jpg
 
「平均^N」は例えば平均リターンがゼロのときは当然元本と変わりませんが(フィッティングの誤差?により近似曲線の係数が1にならない)、分布通りのリターンを掛けた「×分布」は平均リターンがゼロにも関わらずそれより小さくなっています。この場合は0.99前後のようです。この比を「減価率」とします。ブルベアファンドがn=2以上離れると指数から減価するように、その指数自体も標準偏差で減価し続けることになります。
 
さらに平均リターンはそのままに標準偏差を2倍3倍していくと、減価率はどんどん悪化するようです。例えば8倍にして標準偏差を現実的な20%程度にした場合、
 
agm_dep_am_dev08_n36.jpg
 
この場合は「平均^N」の半分程度まで悪化してしまいます。横軸に標準偏差、縦軸に減価率を取ると、
 
agm_dep_dev_n36.jpg
 
ちなみに私のアセットアロケでは標準偏差が18%弱なので上図のように理想値から0.5掛けくらいになってしまいます。これだと理論値を想定する場合、(平均リターン^N×減価率)とするべきでしょうか。また単位時間あたりでは(平均リターン^N×減価率)^(1/N)でしょうか。減価率もおそらくNや標準偏差の関数として表せる気がします(分布の形にもよると思います)。
 
では理想値である「平均^N」に減価率を掛けた場合の評価額をプロットします。
 
agm_app_am_n36.jpg
 
つまり標準偏差がゼロでない場合、平均リターンがゼロでも元本(y=1)を維持できず、必要な平均リターンの下限が発生するということになります。しかも標準偏差が大きいほど元本を上回るためのポテンシャルの壁が高くなるようです。
 
しかしこれでは頑張ってリスクを取る意味がなくなってしまいます。よってさらに横軸を標準偏差で規格化すると、
 
agm_app_sr_n36.jpg
 
このように傾きが標準偏差によって変わり、グラフがクロスする部分が出てきます。
 
ここで元本維持を示すy=1および目標としてy=2、y=5になるときのxの値を求めてみます。
 
agm_req_dev_n36.jpg
 
元本割れを避けるだけならリスクは小さい方がよいが、増やすためにはリスクを大きく取る方が効果的(SRが小さくてよい)です。もちろん必要なリターンも大きくなりますが、目標を満たすために必要な効率(SR)には極小値があり、例えばy=2の場合は標準偏差が約20%、SRにして0.2あればよいということになります。
 
逆にリスクが大きいほど高いリターンが求められるという理由がよくわかる気がします。
 
また評価額から実質平均リターンを求め、平均リターンと標準偏差に対する関係を示します。
 
agm_gm_am_n36.jpg
 
agm_gm_dev_n36.jpg
 
これらが示すことは、例えば標準偏差が20%あると実効的な平均リターンが2%も落ちてしまうということです。
 
と言っても、減価分の考慮が必要かどうかは平均リターンの定義によって変わると思います。いろいろなところで公表されている平均リターンは標準偏差でバラツキながら今までやってきた実績を元に算出されているはずです。それが「ある期間の変化率^(1/期間)」、つまり「相乗平均リターン(幾何平均リターン)」ならこの減価分が含まれていると思います。一方「単位時間あたりの変化率の平均」、つまり「相加平均リターン(算術平均リターン)」だと今回試したようなズレが生じることになります。
 
【まとめ】
・バラツキがあると減価する
・バラツキが存在する場合「リターンの分布の平均>実質平均リターン」
 
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