以前考えた「時間リスクの確率分布」では、n=10、20、30年といった特定の時刻で輪切りにした断面を二次元でプロットしていました。
今回はそれを3Dで表現します。ここで言う三次元確率解釈とは、しばしば長期投資のリスクとして定義される資産価値のバラツキ(変化率)を時間と確率の両面から考察するという意味です。以下のプロットでは相乗平均リターンを5%、標準偏差を15%として対数正規分布を考え、X軸に時間、Y軸に資産価値、Z軸に確率密度と累積分布(累積確率)を取ります。
【三次元時間リスク確率分布(Z軸:確率密度)】
時間軸に対して垂直の平面から見ています。言わば未来から見た資産価値の確率分布になります。
グラフの左右の裾が±3σ(99.7%)のラインに相当します。またいくつか特徴線を加えています(描画の特性により破線になっています)。緑の線が+2σ(95%)のライン、白い線が-2σ(95%)のライン、青い線が対数正規分布の期待値(平均値)、紫の線が中央値(累積確率50%=0σ)、赤い線が最頻値を示します。
いくつか考察を箇条書きします。
・時間が経つにつれて資産価値は横に広がりバラツキが大きくなる。つまり資産価値の(時間平均しない)変化率で定義したときの長期投資リスクは増大する
・バラツキに従って高さも低くなっていく。これは確率密度の資産価値方向の積分が1になるように規格化されているため(確率密度自体は直感的な確率を表しているわけではありません。確率密度と資産価値の積が確率に相当。つまり中央値が分布のピークに来ない)
・中央値ではなく最頻値が常に分布の尾根を通る
・-2σ(95%)の白い線が30年経っても資産価値1を超えられていない(元本割れ)
【三次元時間リスク確率分布(Z軸:累積分布)】
次に累積分布です。これが確率密度と資産価値を掛け算した直感的な(累積)確率を表します。
グラフの線の意味は確率密度と同様です(実線のつもりが破線になっています)。
こちらもいくつか考察を箇条書きします。
・時間が経つにつれて資産価値は横に広がりバラツキが大きくなる。つまり資産価値の(時間平均しない)変化率で定義したときの長期投資リスクは増大する
・規格化されているため高さは1で変わらない
・中央値である紫の線が常に累積50%を通る
・期待値(平均値)である青い線の確率は時間とともに小さくなる
・最頻値である赤い線の確率は時間とともに小さくなる(期待値と最頻値の間に入る確率が大きくなる)
・-2σ(95%)の白い線が30年経っても資産価値1を超えられていない(元本割れ)
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今回の3Dplotは以下の2Dplotの重ね合わせです。
【資産価値の時間依存】
+
【確率密度と累積分布の資産価値依存】
+
【確率密度の時間依存】
OR
【累積分布の時間依存】
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