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長期投資の定義(2倍になる確率編)

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長期投資の定義(2倍になる確率編)

「長期投資」の定式化について、前回「長期投資の定義(元本割れ確率編)」で元本割れ確率を用いて考えました。

今回は同様に「ある一定の確率で2倍になるために必要な期間投資を行うこと」を長期投資と定義します。図で表すと、

【「2倍になる」の図】

このグラフの緑の太線が、ある一定の長さより長くなるまで運用する、ということです。

対数正規分布の考察から、2倍になるために必要な時間はリスク、リターン、要求確率(何σか)に依存することがわかっています(以下のμは相乗平均でμ>0、a<0とします)。

f(n)/f(0)=exp[μn+a×σ√n]=2より

2倍必要時間:n=[(-aσ+√(a^2σ^2+4μln2))/(2μ)]^2

例えばμ=5%、σ=15%、0σの確率(50.0%、a=0)で2倍になるために必要な時間は
n=14(年)
例えばμ=5%、σ=15%、-1σの確率(84.1%、a=-1)で2倍になるために必要な時間は
n=30(年)
例えばμ=5%、σ=15%、-2σの確率(97.7%、a=-2)で2倍になるために必要な時間は
n=61(年)
例えばμ=5%、σ=15%、-3σの確率(99.9%、a=-3)で2倍になるために必要な時間は
n=107(年)

これをグラフで表すと以下のようになります。

【2倍になるための時間の3Dマップ(-2σ、97.7%)】※トーンジャンプについてはご容赦ください。

3Dは定量性が若干犠牲になりますが、パラメータに対する依存性が直感的に理解しやすくなります。ここでは時間がシグマとリターンによってどのように変化するかを示しています。Z軸はLogです。以下のコントアは上記三次元の平面版です。

【2倍になるための時間のコントア(-2σ、97.7%)】

これらはイメージが掴みやすい一方で数値の読み取りが困難なので、SR(μ/σ)の関数としてプロットします。

【2倍になるための時間のSR依存(μ=5%)】

数学的にゲタを履かせたようになることが分かります。ここから代表的な値を抜き出して表としてまとめます。リスクとリターンを軸とします。

【2倍になるための時間(0σ、50.0%)】

【2倍になるための時間(-1σ、84.1%)】

【2倍になるための時間(-2σ、97.7%)】

【2倍になるための時間(-3σ、99.9%)】

【考察】
元本割れの場合と違い2倍になることをクリアする課題が加わるため、時間がオフセットを履くことになります。a=0の場合に相当する漸近線は定量的には「ln2/μ」となります。これは72の法則の解析的な形であり、上記a=0のテーブルが72の法則で求められる値とほぼ一致します。

この場合はSRのみでなくμにも依存します。同じSR(表の対角線上)でもμが大きいほど時間は短縮されます。

このようにk倍になる確率で長期投資を定義すると、確率的にさらに必要時間が厳しくなってきます。k=2における要求確率としては-1σ(84.1%)が落としどころでしょうか。

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