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インデックス・ドライバー

長期投資とインデックス投資に対する幻想

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1. 無題

本筋とは違うところですが、インデックス投資への認識としては大事なポイントかと思いますので、ひとつコメントを。

>「完全コピー」で敢えて受けようとすること

これは違います。むしろ逆行しているとも言えます。各種インデックスで多くは時価総額比でしたが、時価総額比を捨てて浮動株調整時価総額に変わってきているという歴史があります。MSCIやTOPIXなども21世紀になって本来の時価総額を捨てました。
インデックスプロバイダーですらマーケットの完全コピーを狙ってはおらず、投資家も完全なマーケットポートフォリオのコピーではなく現実的な利用可能なポートフォリオ狙いかと。日経平均のような非時価総額インデックスもありますし。

本筋とは違うのですが、何となく「インデックス投資=他のすべてを投げ捨ててでも時価総額ポートフォリオ絶対主義」的に思われているのかな……と思いましてコメントしました。

2. >吊られた男さん

ご指摘ありがとうございます。

時価でないインデックスファンドでも基本は何らかの指数をコピーするものなので、文脈に合わせて時価の方に「完全」という言葉を付けました。

吊られた男さんのおっしゃる通り、時価は時価でも浮動株の件や、他に例えばMSCIの指数でもメジャーどころは「Large+Mid Cap」で構成され、IMI(Investable Market Index)といった指数もあるくらいですので、すべてを網羅した時価総額指数というものは存在し得ないのかも知れません。

ここでの意味は「(例えばミーンバリアンスといった)統計学の視点から構築されていないもの」あるいは「価格に立脚したもの」としています(時価はまだ良くて、日経平均のような「株価加重」はあまりに株屋さん思考すぎて萎えます)。実用に重点を置くことを否定しているわけではありません。時価総額絶対主義と取られたのなら今後注意したいと思います。

ただいまコメントを受けつけておりません。

長期投資とインデックス投資に対する幻想

前回「統計とリスクを考える良い機会」の兄弟記事です。あちらが表だとすればこちらは裏です。セイントセイヤで言えばジェミニです。
=======

まずライン・ドット版のグラフの表現をグリッド空間に変換してみたいと思います。

【単位時間あたりのリスク(メッシュ・コントア版)】

ドットの個数を二次元のアレイでカウントしてコントアで表示したものです。メッシュが粗い上にNが少ないので時系列方向に過去3ヶ月分かつ確率シグマ方向に±1タップ(3ブロック)の計9データをビンまとめし平滑化(ローパスフィルタ)を実施しています。それでも足りないのでプロッター上で短いタップのスムージングをかけています。

これを見ると短期的には鋭いスパイク(グリッチ)が起こりえますが、平均的には中心付近に集中することがわかります。

【時間方向の合成リスク(メッシュ・コントア版)】

Y軸の数値を2デシベル(約1.26倍)の解像度で分解し、対応する確率振幅をZ軸としてコントアで表現したものです。実際の指数値が含まれるブロックにはY軸の値に関係なく「1」を与えています。「ドラゴンブレス」のレンジは2σ(95.4%)をとっています。そして指数を浮き彫りにするためにプロッターによるテッセレーションをかけています。

これを見ると短期的な変動もその多くは2dBのメッシュに収まってしまうことがわかります。

【考察】
◆インデックス投資の市場トレース
グラフで確認できるように、過去に何度も変動は繰り返されています。今回が特に大きいわけでもなく、リーマン後から200%以上上昇してきて10%程度下落して数ヶ月前の水準に戻っただけです。

インデックス投資は放置するだけと言われます。統計的な根拠に基づいて資産運用を設計しておけばそれは合理ですが、実際に放置するとなると人間心理として簡単ではありません。理不尽な市場変動に耐えうる忍耐力と継続性が求められます。

今回の下落でいかに市場が実体のない不安や憶測だけで動いているかが実感されたと思います。そのような非論理的な市場の変動を市場平均という「完全コピー」で敢えて受けようとすることがインデックス投資の非合理の一つと認識しています(それでもアクティブ運用はマーケットに敵わなかったわけですが)。

◆長期投資のリスク増幅作用
「バラツキ」がルートn倍で拡大していくのが長期投資であり、非論理的な市場の変動をモロに受けるのが(時価加重)インデックス投資です。市場の写し身である時価加重により行き当たりばったりな脊髄反射の直撃を受ける。時間が経つほどその絶対的なダメージは大きくなる。

私はあのような変動を見る度に少しでも統計で対策を入れたいと感じています。即物的な市場においていかに客観的に行動することができるかが資産運用のカナメだと考えるからです。だからずっとインデックスに統計の要素を取り入れてほしいと願ってきて、ブログでも考察を続けてきました。

◆世界経済のドライバ
インデックス投資は世界中の企業、銘柄に出資して配当と世界の成長を享受するもの。残念なことに投機と同じ土俵にいるから乱されてしまいます。本来世界の成長に市場の外乱は必要無いものであり、市場は要らぬノイズを増幅させるだけという認識です。手段として市場を介して世界の成長を受けるのがインデックス長期投資。代償として市場のリスクを受ける。世界経済の平均値を得るために、リスクをノイズとみなしていかにロジカルに処理するか、インデックス投資はそのような対策が求められる投資法と考えます。ノイズから精度よく平均値を抽出するために時間が必要であり、長期投資という忍耐が必要となります。決して安易に実行できるような思想ではないと認識しています。

市場、金融は非合理の集合であり論理的な判断や行動を期待することは不可能だと考えるべきと捉えています。はっきりさせたいのは、市場が世界を発展させるのではなく、企業とその従業員の努力によるものであるということです。市場はシグマを増大させるノイズでしかない。市場の変動を王様として鵜呑みにするのではなく、基準もポリシーも無いダメな振る舞いとして捉え、そうならないようにどうするかを考える方が有意義だと思います。

◆判断基準のブレ
物事の判断基準が直近の良かった時のものに常に上書きされ、基準が変わり続けることが変動に対する耐性を弱める要因と考えています。そのような人間心理の非合理の連鎖により変動が増幅される。対策としては統計により確固たる基準を確立すること、また基準を少し前に置いてみればよいと考えています。一度上がってしまうと人間は欲が出てその位置から下がることを嫌いますが、良いところを基準にするより悪かった時を基準にすることが資産運用を長く続けるコツの一つではないかと考えています。

インデックス長期投資の良いところは背景ロジック(シグマの見積もりや時間との関係など)を確立させておけば変動に一喜一憂せずに放置していられることだと思います。決してインデックス投資が簡単でもなく、何も考えないわけでもなく、何もしなくて良い、ということではないと思います。この程度の変動でブレてしまうならそのバックグラウンドが確立されていないということだと考えられます。

【まとめ】
ここ数年で資産運用を始めた人はそういう「リスク」(年率で20%程度変動すること)があることを承知で始めたんだと思いますし、ホントの最近始めていきなり今回の下落に出くわした人は投資額が少ないうちで良かったということを喜ぶべきだと思うのです。

そうでないと「長期投資やインデックス投資に対する認識が甘い」と捉えられても仕方がないのではないでしょうか。その認識の甘さが長期投資とインデックス投資に対する「幻想」だと思います。

インデックスにとっては「見くびらないでほしい」ということかも知れません。

しかし、その障害を乗り越えた先に得られるものは小さくないと考えています。だから多少の変動にも臆することなく我慢強く継続していくことが重要と考えます。

仕事でもなんでもさまざまな困難に直面したとき、私はこの曲を思い出します。

「高ければ高い壁の方が登ったとき気持ちいいもんな」Mr.Children「終わりなき旅」

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コメント

1. 無題

本筋とは違うところですが、インデックス投資への認識としては大事なポイントかと思いますので、ひとつコメントを。

>「完全コピー」で敢えて受けようとすること

これは違います。むしろ逆行しているとも言えます。各種インデックスで多くは時価総額比でしたが、時価総額比を捨てて浮動株調整時価総額に変わってきているという歴史があります。MSCIやTOPIXなども21世紀になって本来の時価総額を捨てました。
インデックスプロバイダーですらマーケットの完全コピーを狙ってはおらず、投資家も完全なマーケットポートフォリオのコピーではなく現実的な利用可能なポートフォリオ狙いかと。日経平均のような非時価総額インデックスもありますし。

本筋とは違うのですが、何となく「インデックス投資=他のすべてを投げ捨ててでも時価総額ポートフォリオ絶対主義」的に思われているのかな……と思いましてコメントしました。

2. >吊られた男さん

ご指摘ありがとうございます。

時価でないインデックスファンドでも基本は何らかの指数をコピーするものなので、文脈に合わせて時価の方に「完全」という言葉を付けました。

吊られた男さんのおっしゃる通り、時価は時価でも浮動株の件や、他に例えばMSCIの指数でもメジャーどころは「Large+Mid Cap」で構成され、IMI(Investable Market Index)といった指数もあるくらいですので、すべてを網羅した時価総額指数というものは存在し得ないのかも知れません。

ここでの意味は「(例えばミーンバリアンスといった)統計学の視点から構築されていないもの」あるいは「価格に立脚したもの」としています(時価はまだ良くて、日経平均のような「株価加重」はあまりに株屋さん思考すぎて萎えます)。実用に重点を置くことを否定しているわけではありません。時価総額絶対主義と取られたのなら今後注意したいと思います。

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