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インデックス・ドライバー

為替換算における相乗平均リターンの消失についてI

統計学における「積の合成リスク(積の誤差伝搬)」により、外貨建て資産は為替換算で消失リターンの要因である標準偏差(シグマ)が基本的に増大します。

※「基本的に」と書いたのは相関等によっては為替換算でシグマが低減するケースがあるからです(その点については関連記事を参照ください)。

しかしながら、為替は二国間の貨幣価値の「相対関係」を表すものだから、もしかして為替分は消失リターンには影響しないのでは?という疑問がありました。そこで、MSCIコクサイインデックスとジャパンインデックスで確認してみました。

【変化率のヒストグラム(KOKUSAI INDEX)】


【変化率のヒストグラム(MSCI JAPAN)】

【統計量テーブル(KOKUSAI INDEX)】
[年率換算] KOKUSAI(USD) ドル円 KOKUSAI(円)
相加平均(μ) 11.8% -1.6% 10.0%
相乗平均(g) 10.5% -2.2% 8.1%
標準偏差(σ) 15.1% 11.0% 18.4%
g-μ -1.3% -0.6% -1.9%
-(σ^2)/2 -1.1% -0.6% -1.7%
相関係数(r) -0.02









【統計量テーブル(MSCI JAPAN)】
[年率換算] JAPAN(円) 円ドル JAPAN(USD)
相加平均(μ) 6.5% 2.9% 9.4%
相乗平均(g) 4.6% 2.3% 7.0%
標準偏差(σ) 19.0% 11.2% 21.2%
g-μ -1.9% -0.6% -2.4%
-(σ^2)/2 -1.8% -0.6% -2.2%
相関係数(r) -0.11









msci.comより1980/01/E-2016/10/Eの米ドル建てKOKUSAI INDEX(Gross)を日銀のドル円で換算。逆に円建て(Local)のMSCI JAPAN(Gross)を日銀の円ドル(ドル円の逆数)で換算。それぞれの相加平均、相乗平均、標準偏差シグマ、消失リターンを算出。つまりお互いの指数を為替で換算し合うと互いにどう見えるか、という検討です。

【考察】
ヒストグラムのピークが低くなり、裾の幅が広がっていることからも、為替換算によりシグマが増大することが確認できます。数値化した消失リターン「相乗平均(g)ー相加平均(μ)」を見ると、為替換算後の消失リターンは換算前と通貨の消失リターンの和とコンシステントであることがわかります。つまり、「為替換算も消失リターンに影響する」ということが確認できます。

特に、日本側と米国側、どちらも消失リターンが拡大していることがポイントかと思います。為替の相乗平均は互いにプラスマイナスで有利不利があるのに対して、標準偏差シグマと消失リターンは「一方通行」のように見えます。

したがって、「外貨建て資産は為替換算によるシグマ増大に伴う消失リターン増大により円建て資産より非効率」と言えるかも知れません。

資産xと通貨yの乗算型の合成リスクは誤差伝搬則から以下のように記述できます(アセットアロケ等における普通の加算平均型の合成リスクと違って資産配分の割合を掛けないのがポイント。ゆえにシグマが大きくなりやすい)。

σf^2=y^2σx^2+x^2σy^2+2xyrσxσy

したがって、外国資産の消失リターンは、

-(σf^2)/2=-(y^2σx^2+x^2σy^2+2xyrσxσy)/2

と書けると考えられます。数学的には国内資産に対して為替のσyが加算される形になっているので合成リスク、つまり消失リターンも大きくなる方向ということになります(ただし相関係数rやx、yのリターンがマイナスに大きい場合はその限りではない)。

【まとめ】
特筆すべきは、二国間のどちらから見ても為替の相乗平均は相加平均より小さくなるということです。つまり為替換算は消失リターン分は必ず指数の効率を低下させることを示していると考えられます(ただし為替の相乗平均が正の場合は換算後の相乗平均は向上する)。

資産運用において外国資産に分散投資すると言っても、上記の通り為替換算は指数の効率としては必ずしも合理的でない部分があると考えられますが、それも「バランス」なのだと思います。一極集中を回避するためにはどうしても分散が必要になりますし、米国なんかは自分たちに都合よく世界経済を動かすでしょうから、恣意的に多めに資産配分することもまた合理的なのかも知れません。

ただ、KOKUSAI(円)とJAPAN(円)のシグマを見ていただければわかる通り、円換算後のMSCIコクサイのシグマ(18.4%)に対してMSCIジャパンのシグマ(19.0%)の方が大きく、一概に円資産の方が効率的とは言えません。コクサイの方は複数国の合成シグマであることもありますが、日本株のシグマが大きすぎるだけのように思います。それだけ市場、あるいは指数の構成が非効率ということなのでしょう。

また、為替ヘッジが通貨の消失リターン(この場合-0.6%)より効率的に実施できるなら、それもまた合理的と言えるのかもしれません。長期的に為替のリターンに期待することはあまりないような気がしますので、通貨の消失リターンは為替ヘッジ判断の一つの基準指標になると考えられます。

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