考えさせられる記事があったので考えてみます。
私も「ドルコストってどうなん?」、「時間とリスク」等々ところどころで書いていますが発散しているのでここでまとめます。
①機会損失の発生
『保有している金額に対する収益率の動きは同じ』
⇒リターンやリスクは残高や時点に関係なくかかる。
『重要なのは「金額×時間」・・・「時点」』(等金額vs一括購入)
⇒リターンが毎年プラスであることを前提に投資するので、購入を遅らせる分リターンは低くなります。2倍則がドルコストは一括購入の2倍弱の時間がかかることからも、ドルコストがリターンにブレーキをかけることがわかります。
一方で平均取得価格が取得価格の平均(=等口数の平均取得価格)に対して抑えられるという事実があります。さらに実際はアップダウンがあるので安いときにたくさん買えることが強調されるような説明を見ます。ただしそのアップダウンが平均的に右肩上がりでアップダウンしているとしたら、購入遅れの複利効果の方が効いてくるのではないかと思われます。
またドルコストは投資対象のリスク(標準偏差)を減らすものではないです。移動平均を取ることによるローパスフィルタ効果はありますが、積み上がったポジション全体のリスク(標準偏差)は減りません。ドルコストが減らす"リスク"としては高値掴みのリスク(危険性)でしょうか。
『時系列リターンの自己相関はどうなのかというと、これは、ほぼゼロ』(等金額vs等口数)
⇒自己相関関数、、、昔ブラウン運動の実験でやった気がしますが忘れてしまいました。
時系列のパワースペクトル⇒1/f^2⇒ブラウンノイズ⇒微分⇒ホワイトノイズ⇒1/f^0⇒時系列のリターン(微分値)のパワースペクトル⇒「自己相関=0」
というように推定できるのでそうなんだと思います。
・自己相関プラスのとき・・・+4%を繰り返すと仮定
・自己相関マイナスのとき・・・±4%を繰り返すと仮定
グラフが見にくいので以下にまとめます。
|
リターンの自己相関プラス(+4%) |
リターンの自己相関マイナス(±4%) |
総投資額 |
等金額 < 等口数 |
等金額 < 等口数 |
総口数 |
等金額 < 等口数 |
等金額 < 等口数 |
平均取得価格 |
等金額 < 等口数 |
等金額 < 等口数 |
損益(額) |
等金額 < 等口数 |
等金額 > 等口数 |
損益(%) |
等金額 > 等口数 |
等金額 > 等口数 |
ここで言われているのはおそらく損益の額が等金額と等口数で統計的に有意差がないということで、等金額によって平均取得価格が取得価格の平均に対して抑えられる(=損益の割合(%)は等金額が有利)ということではないと思います。また例えば自己相関がマイナスでも平均的に上がっているか下がっているかで等金額と等口数では総投資額や総口数の大小関係が異なってくるので損益の額の比較は難しいと思います。
しかし平均取得価格->損益の割合(%)は等金額が有利なので「総投資額に対するリターン効率」という意味ではドルコストに優位性があると思います。
あとこの『「逆張り」的になるドルコスト平均法』で思い出しましたが、以前「前月に対して下がったら買う、上がったら繰り越し」というシミュレーションをして有意差が見出せなかったことも、これ(自己相関がゼロ)と同じようなことを示しているのかと思われます。
②支払い手数料の増加
⇒ノーロードなので問題なし(海外ETFに移すときは一度がよい)
③一つの対象に対する集中投資によるリスク増加
⇒複数資産をドルコストしているので問題なし
【それでもドルコスト平均法(等金額積立)を使う理由】
①毎月少しずつしかお金を用意できないから
②定額の方がわかりやすいし管理もしやすいから
③現実には毎年/毎月上がり続けることはないから
④ローパスフィルタ効果(高値掴み防止)
⑤平均取得価格が取得価格の平均に対して抑えられるから
⑥『後悔回避』
①が一番大きな理由です。だって物理的に無理です。誰かが30年分前払いしてくれるなら30年も購入を分散させずに2年くらいで終わらせると思います。
また年平均で4~6%しか上がらないのに毎日/毎月無用の変動に引きずられるは避けたいです。
あと⑥の気休めも重要だと思います。例えば積立日に、
・ECBが助けてくれる⇒大きく上がる⇒「またバカのひとつ覚えのように・・・」
・統計が悪い⇒大きく下がる⇒「ラッキーだけどプロのくせにポリシーねえなぁ」
と思いますが、前者のときに"ルールだから"という"慰め"がほしいのは実感しています。
確かにドルコスト平均法は万能ではないです。当然、たくさんお金があって今が底だと判断できるならドルコストを使う必要はないと思います。しかし私にとっては弊害含めて望ましい投資方法です。
【リスクとは】
①バラツキ(標準偏差)
②金額や時点によらない
③ドルコストでは減らない
④投資期間によらない
基本的に"リスク"は"バラツキ"であって"危険性"ではないと思っていますが、ドルコストの機会損失や信用リスク等では危険性という意味で使います。
また山崎さんも言及されてますけど③や④についてウォール街のランダムウォーカーは嘘とは言わないまでも「ホントか?」というようなことが書かれているので注意が必要です。
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