リスクリターンで明確にこのプロットを示したことがなかったような気がするので、時間平均の「期間」依存性を考えます。
【リスクの時間依存】
【リターンの時間依存】
MSCI JAPANの1969/12/31から2014/06/30までのMonthly/Gross時系列をベースとしています。5年間および20年間の年率リスクリターンを求め、それを1ヶ月ずつ時間軸方向にずらしながらプロットしたものです。
ブルーの5年平均よりマゼンタの20年平均の方が上下振幅が小さくなっていることがわかります。不図示の1年ではもっと変動が大きくなります。リスクリターンともサンプリング期間を延ばせばバラツキが減少し有限のある値に収束します。
特にリターンのグラフ、これが長期投資でリスクが減るという誤解の原因です。一方リスクのグラフを見ると、期間に応じて変動は小さくなれどリスクはゼロに近づくわけではなく、約20%の「ゼロでない一定値」を精度よく示すようになります。
つまりリスクは減ってはいません。このようにリターン(単位時間あたりの変化率)の標準偏差であるリスクは時間で変わらず、推定精度が上がるだけという認識です。
そして、この「ゼロでない有限の値に収束する」リスクが時間方向に伝播するときの振る舞いを考察したものが時間リスクとその確率解釈に相当します。
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